血糖値が高い場合に起こる症状は?
- 喉の渇き、多飲
- 頻尿、多尿
- 体重減少
- 脱水
- 倦怠感
- 空腹感
- 集中力の低下
200 mg/dL程度の血糖値では、ほとんど症状は見られません。300〜400mg/dLくらいから、喉の渇きや頻尿・多尿といった症状が現れるようになります。
実際にはいずれも、糖尿病と結び付けて考えることの難しい症状であり、このことが糖尿病の発見・治療の遅れにもつながっています。
そもそも血糖値はなぜ高くなるのか?
血糖値が高くなる原因は、糖質の摂取と、インスリンの作用不足にあります。
糖質の摂取
食事をすると、摂取した糖質は体内でブドウ糖へと変換され、血糖値が上昇します。糖質は炭水化物に含まれます。
タンパク質や脂質も血糖値を上昇させますが、糖質と比べるとその影響はかなり小さくなります。
糖質を含む炭水化物を摂り過ぎると、血糖値は急激に上昇します。
インスリンの作用不足
インスリンは、食事によって上昇した血糖値を下げてくれるホルモンです。膵臓からインスリンが分泌されるおかげで、食後一度上昇した血糖値も、時間とともに低下していくのです。
ただ、糖質の多い食事を続けていると、膵臓が疲労してしまい、インスリンの分泌量が減ってしまいます。また、肥満・運動不足によって、インスリンの働きを阻害する物質が発生します。
このようなインスリンの分泌量の低下、働きの低下によって、高血糖状態が続いてしまいます。
血糖値が高いままだとどうなる?
慢性的に高血糖状態が続くと、糖尿病と診断されます。そして、治療せずに放置することで、以下のようなリスクが高まります。
動脈硬化に伴う脳梗塞、心筋梗塞など
血糖値が高い状態は、血管に大きな負荷をかけ、動脈硬化を進行させます。動脈硬化とは、血管が硬くもろくなってしまうことを指します。
結果、脳梗塞や狭心症、心筋梗塞、末梢動脈疾患(PAD)などのリスクを高めます。末梢動脈疾患とは、足の血管の動脈硬化によって、血管が細くなる・詰まるなどしてしびれ、痛みが生じ、最終的には潰瘍・壊死へとつながる病気です。
網膜症・腎症・神経障害
網膜症:目の網膜の血管が障害され、視力低下を招き、最悪の場合には失明に至ります。
腎症:腎臓の機能が低下し、腎不全に至ります。人工透析が必要になることもあります。
神経障害:手足の末梢神経が障害され、しびれ、麻痺などをきたします。傷に気づけず、壊疽に至ることもあります。
これらを合わせて「糖尿病三大合併症」と呼びます。
その他の疾患
血糖値の上昇によって細菌が活発化し歯周病が悪化したり、肺炎・尿路感染症・皮膚感染症などを合併することがあります。
また、近年では認知症との関連も指摘されています。
血糖値の検査
血液検査、尿検査を実施し、以下の項目を評価します。
HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)
健康診断などでも一般的に測定される項目です。
月あたりの血糖の状態を把握します。HbA1cの数値が6.5%以上になると「糖尿病型」と診断されます。
HOMA、Cペプチド
インスリンの分泌機能、作用の程度を測定する項目です。
抗体測定
抗GAD抗体などを調べます。免疫異常による糖尿病であるかどうかが分かります。
尿糖・尿蛋白
尿中の糖分の状態、腎臓の状態を調べるための項目です。
血糖値が高い時・糖尿病の治療
食事療法と運動療法を基本とし、必要に応じて薬物療法を取り入れます。
食事療法
医師と管理栄養士が連携し、血糖値の上昇を防ぐ食事・食べ方の指導を行います。
運動療法
ウォーキングや軽いジョギング、水泳などの有酸素運動を行います。
肥満の解消には、基礎代謝を上げる筋力トレーニングが有効です。
薬物療法
GLP-1受容体作動薬、SGLT2阻害薬などを使用します。
場合によっては、インスリン治療が必要になることもあります。
薬物療法を開始してからも、食事療法・運動療法を継続していくことが重要です。
肥満は血糖値を上げる要因に
インスリンの作用の低下、そして血糖値の上昇を招く肥満は、糖尿病の重大なリスク因子です。
また、脂質異常症や高血圧、高尿酸地血症・痛風といった他の生活習慣病のリスクを高めることでも知られています。肥満を病気の一歩手前の状態と捉え、症状の有無にかかわらず早めに検査・治療を受けましょう。
当院では、糖尿病を含めた生活習慣病とともに肥満を改善し、毎日を安心して明るく過ごしていただくための肥満外来を開設しております。
どうぞ、お気軽にご相談ください。
※肥満治療は、ダイエットを目的として行っておりませんのでご了承ください。
基本的に糖尿病や脂質異常等の疾患がある方のみを対象としております。